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今大切なのは中小業者の実態から出発した政策であること
 吹田民商は3月14日に、吹田市長選挙に当たり、4名の立候補予定者に公開質問状をお届けしました。この度、全員から回答が寄せられましたので別紙用紙にて紹介させていただきます。この回答に対する吹田民商の見解は以下の通りです。両方を読み比べていただき、投票の参考にしていただければ幸いです。

(1) 官公需の地元発注割合を件数だけではなく金額の面でも大幅に高めることに賛成ですか。賛否とその理由、賛成の場合の具体的な改善策。
 全員に賛成していただきました。この問題は、吹田民商が2002年以降一貫して改善を求めてきたものです。市内業者団体は勿論、吹田市議会も全会一致で賛同していただきました。ようやく市民的な合意までくることができました。あとは市長だけです。この件ではどなたが市長になっても実行されなければなりません。石川氏と井上氏、阪口氏は「仕組み」について言及していますが、正森氏は地元発注割合が激減した最大の要因である「大型公共事業の見直しの可能性」を検討することや中小業者の仕事を増やしながら発注割合を高めることを提案しています。今のままでは、井上氏が回答されているように「市内業者への発注が目に見えて増加するとはとても思えません」。そうであれば、「仕組み」の改善も必要ですが、正森氏のように中小業者が行うことができる「仕事を起す」提案が必要ではないかと考えます。

(2) 「小規模工事契約希望者登録制度」の創設に賛成ですか。賛否とその理由、賛成の場合の具体的な推進策。
 石川、正森、井上の各氏が賛成で、現職の阪口氏だけが賛同されていません。この制度の創設目的は中小業者が元請になれる制度をつくり、一定金額以下の仕事は市内業者のみの競争で発注先を決めることにあります。今ある「簡易な修繕」制度は安価な仕事でも市外業者と競争することになり、この制度の趣旨から外れます。阪口氏の回答では市内業者を育成することにはなりません。正森氏は「工事」だけではなく「物品」や「役務」にも、この制度を広げると約束されています。中小業者の社会的な役割をよく理解した上での回答であることもわかります。この4月から「物品」部分の「市内業者優先発注」が実施されていますが、この制度を導入しない限り市内中小業者には仕事は回ってこないことは明らかです。石川氏や井上氏にも正森氏の主張に賛同していただきたいと思います。

(3) 「住宅リフォーム助成制度」の創設に賛成ですか。賛成の場合の具体的な推進策。
 明確に賛同しているのは正森氏のみです。石川氏は「条件付で賛成」、井上氏は「目的や意義は理解し賛同」するが「財源確保」が前提となっています。現職の阪口氏は「公的支援にはなじみにくい」と回答しています。
吹田民商は、この制度を住宅政策ではなく緊急の地域経済対策として、恒久的な制度としてではなく、期限を切った制度として実施することを提案しています。また、初めて実施する制度ではなく全国各地で実施されて、住民や事業者、市役所職員からも喜ばれている制度であることも明らかになっています。今、大切なのは、中小業者の「仕事起し」を真剣に考えることです。
 井上氏が心配されている財源については、正森氏が言うように「社会資本整備総合交付金」を活用することができます。

(4) 国民健康保険料の値下げを公約されますか。公約の有無とその理由。
 保険料の値下げを「公約する」のは正森氏のみです。阪口氏は公約しないが「値下げに取り組みます」と回答しています。石川氏は「公約しないが検討する」、井上氏は「財源の確保をせずに公約できない」と回答しています。
 国民健康保険料の問題は今や社会問題となっています。この問題の責任の大半は国にありますが、吹田市が一般会計からの繰入金を引き下げてきたことも大きな原因となっています。その点を踏まえた対応をされているのは正森氏のみです。

● 全体を通して
  吹田民商が重視しているのは「仕事起し」と「国保料の値下げ」です。どちらも、中小業者として切実な要求です。阪口市長はそのことが分かっているのでしょうか。官公需の地元優先発注が大幅に落ち込んだのは自分が市長になってからです。国保料を引き上げてきたのも阪口市長です。その反省がなければ改善などできません。井上氏や石川氏にもお願いしたいのは中小業者の現実から出発して欲しいということです。中小業者が元気でこそ雇用が守られ、まちに賑わいが生まれます。だから、仕事起しが大切なのです。財源がないと言われますが、大切なことにはお金を使わなければなりません。生活応援を軽視して開発優先では困ります。また、財源というと公務員削減が言われますが、大企業のように人件費を削って財源を生み出してはなりません。今回の震災で多くの公務員の皆さんが侵食を忘れて活躍している姿は感動的です。「お金」の面だけで見て、経済の効率だけを見て大切なものをなくしてはなりません。
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.804 11.4.11

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