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人権を無視した吹田税務署へ 怒りの抗議行動  ⑧
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.705より 09.3.5.
 「いんふぉめーしょん」で度々報告している山田さんの人権無視の調査に、何度も交渉し謝罪を求めていますが、吹田税務署は「正当な税務調査であった」と反省をしていません。担当統括官は「憲法は一般法」との認識であり基本的人権を理解していない発言をしています。
 今回の調査は、
① 事前通知もなく事業所と自宅にいきなり訪問して本人の意向を無視して4時間余り拘束
② 山田さんの調査であるにも関わらず、刑事事件のような亡くなった実兄の手帳の中まで調べている
③ 父親は高齢で「寝たきり」だと説明しているにも関わらず別宅に上がりこみ1メートルの位置まで接近して確認
④ 山田さんの財布の中身を本人に説明をせずあけさせている
⑤ 母親と児童しかいない自宅に、断っているのに強引に上がりこんでいる。
⑥ 事業に全く関わりのない高齢の母親に聞き取りを20分間していた

等どれをとっても憲法と税務運営方針に逸脱する調査です。更に山田さんに多額の税金を押し付け、担税力のない山田さん一家を苦しみに追い込んでいます。
 3月1日の日曜日、開庁している税務署前で抗議の宣伝をしました。通行人のビラも受け取りが良く、片山商店街への訪問では「また税務署が何かしたんか」と関心が高く、税務署の幹部も外に出てきて様子をうかがっていました。

「調査した資料をまた見るなんておかしい」と請願書提出  ⑦
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.703より
 山田(仮名)さんの「更正の請求」に対する調査が1月20日から始まっています。12月26日に署員が調査の際に見ていなかったり考慮していなかったりした分の経費等を調べるように申請したからです。
 ところが、税務署は、8月に調査した際、売上は見たけど。「経費の方は、ハッキリ言って、ほとんど我々も見ていない」と説明し、再度、「帳面と領収書を見せて欲しい」と言ってきました。他にも平成17年3月分の売上の帰属、重加算税の問題について納得できないと、2月9日に吹田税務署に請願書を提出しました。
(1)  署員は、1月30日の調査の席上、現在行っている「更正の請求」に対する調査は、8月20日発生の「税務調査」が「前提になっている」と言いました。「前提」であれば、8月20日段階で貴署に提出したノート等については十分調査されているはずです。私や私の家族が、妨害することなく、3名の署員の指示に全面的に従った状態で行われた税務調査によって導き出された結論を、再度見直す必要はないはずです。ここで見直す事は、8月の「税務調査」が「杜撰な調査」であったことを貴署が証明するものです。
(2)  平成17年3月分の売上の帰属について貴署と私の見解が分かれています。(中略)貴署は「家族会議で事業継承を話し合ったから」という理由で3月分の売上を全て私に帰属させていますが、私は兄の相続人ではありません。同時に、その時期のその売上や経費の処理も行っていません。従って、3月分の売上は私の売上ではありません。貴署が「事業継承」の最大の根拠にしているのが「質問顛末書」です。(中略)「質問顛末書」に私が署名、捺印することで、平成17年3月分の売上の全てを私に帰属させようとしたことになります。これは明らかに人権侵害です。是正を求めます。
(3)  私は「故意に」売上を外したとして「重加算税」課せられています。この点については11月10日以降、再三、貴署に出向き、今回の「税務調査」が様々な点で問題があることを指摘して話し合いを行ってきました。ところが、異議申し立ての期間が過ぎていることを理由にして、関知できない旨を報告しました。もし、異議申し立ての手続きをと必要があるのであれば、ロ頭で何度も異議を挟んでいるわけですから、そのときに、法的な手続きを説明することが税務署としてのとるべき態度であったはずです。期限がくる1ケ月も前から異議を申し立てている納税者に、説明義務も果たすことなく「期限ぎれ」を理由とする事は、税務行政を司る役所としては怠慢です。失われた「異議申し立て権」に代わる処置を採るべきです。(略)
吹田税務署はこの件について『できるだけ早く』回答すると約束しました。

「こっちが嘘をついているというのか!」と猛抗議! ⑥
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.701より
1月30日10時30分より山田さん(仮名)の再調査の2回目が行われました。山田さんの自宅前には多くの会員が集まりました。前回は税務署側が立会いを理由に調査を進めず帰りましたが、今回は前回の税務署での約束通り3名の立ち会いの中で調査を進めました。
本人が猛烈に抗議  「こっちが嘘をついているというのか!」
 前半1時間は個人2部門の統括官と自宅へ調査に来た署員と事実経過と調査内容の確認を行ないました。署員は「勝手に自宅へ上がっていない」と否定。奥さんは、その時は自宅へ他人を向い入れられる服装ではなかったと主張。署員の「服装は覚えていない」との態度に、山田さんは「税務調査の後、家に帰って何度も何度も自宅で起きたことを妻から聞いた。こっちが嘘をついているというのか。そんな服装で他人を自宅に上げるわけがない。」と強い口調で抗議しました。また、父親の寝たきり状態を1メートル近くまで行って確認したことや母親に亡くなった兄のことを聞いたこと、父親の調査も行なったことについては認め、今までの税務署交渉での回答と食い違うことも分かりました。
署員「経費の領収書は見ていない」
 後半は統括官と工場で調査を行なった2名の署員が、こちらが追加を主張している経費について再調査を行ないました。再調査の中で、なぜか税務調査で認めたはずの経費について、領収書を見せてほしいと要求してきました。署員は理由として、売上だけを重点に置いて、経費については奥さんのつけていた「ノート」をそのまま採用したからと説明。立会者からやはり「ずさんな調査」だったのではないかと抗議すると、そんなことはないと否定しましたが、正当性については言えませんでした。
「説明不足でした」と署員が謝罪
 また、「認めなければ(税金が)父親に行く」と言われたことで署名捺印した「質問顛末書」の作成過程についても抗議を行ないました。抗議の中で山田さん本人は「3年分のすべての税金が父親に行くと思っていた」と話すと、署員は「税金の一部であって、すべてを父親に課税するという意味で言ったのではない」と今回、再度説明。脅したという点については否定しましたが、本人が「そう思っていなかった」というと「説明不足」であったと初めて謝罪しました。この日は、署員の質問検査権が誰まで及ぶのか論争となりました。

猛烈な抗議に署員タジタジ 本人に謝罪!! ⑤
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.695より
支部主催で励ます会
  12月8日に片山支部主催で横暴な税務調査を受けた山田さん(仮名)を励ます会が行なわれました。参加者は28名で税金対策部会からの呼びかけで片山支部以外の役員のみなさんも参加されました。
  はじめに税務調査の内容や税務署交渉の進展などから、山田さん本人から今の心境を話してもらいました。山田さんは「民商との相談の中で自分が税務署に本当にめちゃくちゃされたんやなとわかった。がんばっていきたい」と話されました。それから参加者から自分が受けた税務調査の経験などを交流。今年税務調査を受けた会員さんからは「自分が受けた調査(税務運営方針などを厳守させる調査)がスタンダードだと思っていたが、一般に行われている調査の非道さに驚いた。こういうものとみんなで闘う大切さがよくわかった」という感想や、「一緒にこのことを乗り越えてほしい。乗り越えたあとは困っている誰かの力になれる人になってほしい」と、励ましの声をかける参加者もいました。
  最後に参加者全員で山田さんと一緒に闘うこと、さらにそのことで横暴な税務調査を許さない私たちの姿勢をはっきりと示すこと、そのために12日に行われる納税の猶予の申請での調査に多くの人が集まることを確認しあいました。
  翌日には集会に参加していた片山支部田さんの奥さん、お姉さんと一緒に記帳の応援も行ないました。
「納税の猶予」は許諾の方向へ
  12月12日当日に行われた納税の猶予の申請による調査には、山田さんの自宅に40名以上の会員が集まり、調査終了まで見守りました。
  14時、徴収部門の統括官と山田さんの担当署員が自宅に訪問してきました。調査に入る前におよそ一時間今までの対応に抗議しました。その中で署員の回答から生命保険については、署員から持ち出したことがわかり、いままでの交渉の回答とちがう点も出てきました。源泉徴収税額が年末調整もされずに、山田さんに請求されているのではないかとの質問には、「徴収」と「賦課」は違うと答えるなどありましたが、確認を行うことも約束させました。また、分納や納税緩和措置を説明しなかったことへの抗議については「申し訳なかったとしか言いようがない」と謝罪をさせることもできました。
  調査の中では現状の売上が大幅に落ちていることや、固定経費の金額、変動経費のおおよその金額、また、生活費に必要な金額の聞き取りを30分程度行われました。金額の聞き取りが終わったあと統括官から「私のとろでその方向で進める」と納税の猶予の許諾の方向を明言しました。また、回答は年内にあることも確認しました。
「納得がいくまで誠意をもって対応する」と約束させる
  納税の猶予の調査が終了後、立会者のうち数名と共に、税務調査の結果の再説明を受けるため税務署に向かいました。説明は調査を行った部門から統括官と調査担当者のうち1名が対応しました。説明の中では売上や経費などを科目ごとに書かれた収支計算書や源泉徴収税額の従業員ごとの金額などがわかる資料が準備されていました。コピーが欲しいと求めると、そのま圭特って帰ってもらってもいいと受け取ることができました。さらに税金が計算された経過の説明を受けたあとで、本人から抗議を行いました。徴収部門以上に怒りのこもった声で、あらゆる問題点を質問していました。統括官は最善の配慮を行なったと繰り返していましたが、返答に詰まる場面もありました。最後に「署員を離れて申し訳なかった」「納得がいくまで誠意をもって対応する。と謝罪と約束をさせる」ことまでできました。抗議と説明が終わったあと、やはり源泉徴収税額が年末調整されていなかったこともわかり、年末調整で減額することを検討することや、調査部門の統括官からも収支計算で違いがあるならば、税額更正を行うことも確認できました。

抗議の声あげ、立会い拒否をはねかえす! ④
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.692より
自宅前に40名近く、税務署に20名を超える会員参加
本人も「予測した展開でした」と動揺なく対応
 1月20日昼1時半から、山田さん(仮名)調査に対する「再調査」が行われました。2部門の統括官を含め3名の署員が山田さんの自宅にきました。最初に、8月の調査の際、川瀬署員が、い  きなり了解もなく部屋に押し入ってきた様子や、寝たきりの父親の側まで確認に来たこと、そのすぐ側で20分近くも母親に質問をしたことを山田さんが3名の署員に説明しました。
 その後、片山支部の役員さんを中心とした立会いのなか、調査に入ろうとしましたが、署員は「記帳補助者1名しか認められない」と主張してきました。山田さんは「あのような調査をされた」こと、「自分たちの過ちを認めようとしない」ことを理由に「立会い者は必要」と譲りませんでした。こう着状態が1時間続き、3名の署員は「調査できない」と帰っていきました。
 そのため、外で待機していた会員さんに状況を報告。その後、すぐに税務署に抗議に行きました。約1時間、緊迫した抗議とやり取りが続きました。参加者全員がそれぞれ鋭い抗議の声をあげました。一時は、総務課長が「交渉を打ち切る」など物別れになりそうな局面もありましたが、最終的には「3名の立会い」の線で押し切りました。抗議団全員の団結力が事態を切り開くものとなりました。山田さんは「事前の打ち合わせで、このような展開になることが分かっていましたので動揺はありませんでした。最後まで頑張ります。引き続き支援をお願いします。」と元気よく発言しました。次回の立会いは1月30日です。


全面否定と言い訳で逃げ回る吹田税務署 ③
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.692より
不法、不当な税務調査と徴収に対する吹田税務署との2回目の交渉が11月20日午後3時より行われました。交渉は山田(仮名)さんが実際に経験した事実経過の確認と、そのことが持っている不当性を浮き彫りにする方向で行われています。しかし、吹田税務署は、あった事実を打ち消し、打ち消すことができない事実については「妥当だ」と開き直りました。それでも、新たな事実が明らかになってきました。
社会常識上「許容される範囲」と開き直る
 この調査では、本人が異論をはさんでいるにもかかわらず財布の中を確認したり、寝たきりになっている父親を確認するため別宅を訪問して確認したりすることが任意調査のなかで社会常識上妥当であるかが問題となっています。財布の確認は「裁量の範囲。場合によっては鞄の中や机の中をみることもある」、父親への確認も「枕元ではなく、体もゆすったわけでもないので許容範囲」だと回答しました。
 この調査は任意調査です。理由も明らかにしないまま財布の中まで調べることは明らかに行き過ぎたものです。「裁量の範囲」と言いながら必要性については答えていません。署員は父親に1メートル近くまで接近して確認しています。この件についても、なぜ確認する必要があるのか理由を明らかにしていません。
「言ってはいない」と全面否定する担当署員
 山田さんは、9月5日に税務署に呼び出されて、「サインをしなければお父さんに責任が及ぶ」「署長の温情で」「脱税だ」などと言われて、「質問顛末書」や修正申告書に署名押印させられています。ところが、担当署員は、一切言っていないと全面否定しています。当日同席していたお姉さんは「温情はよく聞いた言葉です」とその場で指摘しました。山田さんが言われもしていないことを覚えているはずはありません。担当署員は、今になって、このようなことを言ってはいけないことだと認識したようです。
 また、徴収の署員が「分納などできない」と言ったことに対しても「嘘をつくことができないので、大原則である一括納付を言ったもの」、「土地の話も本人から出たもの」と、この点については言い訳して逃げ回りました。
「質問顛末書」が何故必要なのか
 20日の交渉のなかで吹田税務署は「質問顛末書」なるものが存在していること、そこに山田さんの署名・押印がされていることを認めました。税務署は「質問顛末書」とは「調書」のようなものだと説明しています。通常の任意調査でこのようなものに署名・押印の「同意」を求められたりはしません。この事実を見ただけでも、山田さんの調査が「異常」であったことを物語っています。
前言を翻す回答に猛烈な抗議
 この調査は、誰の調査か特定しないまま始まっています。その点を11月13日に行った交渉で「調査対象者を特定しない場合もある」として認めていました。ところが、この日は前言を翻して「山田さん本人の調査であった」と言い切りました。前回、言っていたことと違うと猛烈に抗議しましたが撤回しようとはしませんでした。しかし、ここで新たな疑問が発生します。山田さん本人のみの調査であれば、なぜ父親や兄のことを執拗に聞く必要があったのかということです。
この調査では質問検査権が及ぶのは本人のみ
 納税者である本人の了承を得ることなく、奥さん、お姉さん、母親に質問することができるかと言う問題です。山田さん本人が自宅にいる奥さんに電話を入れたときは、既に別の署員から調査を受けており、姉や母親に対する調査には一切同意を求められたり同意したりした事実がありません。所得税法第234条も判例も「その業務に従事する家族、従業員」に以外に受忍義務がないとしています。この点について税務署は調べてはいませんでした。
間違っている場合は「職権で減額更正する」と約束
 今回の交渉を通して、必要であれば、税額の根拠を再度説明し、その内容を筆記しても構わないこと、もし収支計算に間違いがあれば「減額更正」すること、後日、再度交渉をもつことを約束しました。
 山田さんは、「こちらが言っていることの一つくらい認めてくれても良いじゃないか。今、振り返ってみると、最初は誰の調査か分からず、後で特定したことがわかる。納得するまでがんばりたい。」と感想を語っています。

税務署は憲法と税務運営方針を守って仕事を行え! ②
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.691より
先週のニュースでお知らせした不法、不当な税務調査と徴収に対する抗議を吹田税務署に対して行っています。一回目の交渉は物別れに終わり再度交渉を持つこととなっています。今回の事件のどこが問題なのか整理しました。
●税務調査の問題点
(1)税務署員は訪問の目的を述べてはいない
 自宅に午前9時頃1名の署員が、事業所に午前10時頃2名の署員が訪問しています。自宅には「扶養家族のことで聞きたい」と言いながら強引に玄関口に入り込み、その後は「扶養家族」のことを聞くこともなく、自宅の権利書や通帳、領収書などを見せるように要求しています。事業所には「税金のことで、ちょっと」と言って2階事務所に入り、「お兄さんはどうしてなくなったのか」「家族は今どこにいるか」など矢継ぎ早に質問し、その後、原始資料を詳細に調べています。3名の税務署員は「税務調査」であることを本人に通知していません。途中で本人が「何が目的なのか」を質問しても答えていません。
(2)質問検査権が及ばない家族に質問し調査している
 奥さんや母親は専従者ではありません。納税者本人がいないにもかかわらず、また、納税者が了解していないにもかかわらず4時間にわたって質問し調査しています。これは質問検査権の逸脱行為です。
(3)誰の調査かわからないまま調査に入っている
 この調査では、本人だけではなく父親のことや3年前に死亡されたお兄さんのことが執拗に調べられています。調査に入る際、誰に対する調査なのか明らかにしないまま強引な聞き取りを行っています。吹田税務署は、この点について「調査対象者を特定しない場合もある」と、今回の調査が誰を対象にしたものであるかわからないまま調査を行ったことを認めました。もし、父親や兄(故人)にも関係するのであれば、基本的人権をわきまえた対応になるべきです。特に兄が3年半前に他界したことは税務署も知っており、家族に質問して何を明らかにしようとしたのでしょうか。
(4)犯罪捜査並みの税務調査である
 山田(仮名)さんの父親は寝たきりの状態で介護を必要としています。家族がそのように説明しているにもかかわらず、「この眼で確認したい」と主張して隣家に住む父親のところまで行って寝たきりの状態であることを確認しています。また、山田さん本人が「なぜそこまでやるのか」と異議を申し立てているのもかかわらず、財布の中まで調べています。これは任意調査の範囲を超えた犯罪調査です。
(5)修正した収支内訳書は渡さず修正申告書への署名・捺印を強要している。
 9月5日、山田さんとその姉が税務署に出向き調査結果の説明を受けました。これほど多額の税金は払えないと山田さんが主張すると、署員は、「この通りにしなければ先に進めない」と言い張り修正申告書への署名・捺印を強要しました。その際、「脱税した」という言葉もあびせています。また、山田さんが「後でゆっくり確認したいから、説明につかった資料をコピーして欲しい」とお願いしても聞き入れてもらえませんでした。
●徴収について
(1)父親所有の土地を売却して納税することを強要している。
 分納をお願いすると「できない」と一蹴し、「お父さんの土地をお金に換えることはできないか」「どこかでお金を借りる事はできないか」と一括納入を強要しています。
(2)生命保険契約書の写し・父親所有不動産の登記簿を提出させている。
 「場合によっては生命保険を解約させていただきます。」「お父さんの印鑑証明を持ってきてください。」と、事務的に対応しています。
(3)「人間の命より税金が大事」の姿勢ありあり
 山田さんはご家族も心配されるほど、この調査を機に活きる気力をなくしていました。それを、そのまま担当署員に「自分が死ねばどうなるのか」と質問しています。それでも、署員は担保物件の提出を強要しました。この点を民商に指摘された税務署は、「換価の猶予」を行うつもりであったと、本人に説明もしていないことを持ち出して言い訳をしています。
●抗議行動を通して元気な姿に
 11月13日には総務課長との交渉を行いました。この日の交渉は総務課長が署員の言動を擁護する姿勢に終始したため平行線で終わりました。それでも、誰の調査であるかを特定しないまま調査に入った事実は認めさせました。次回は20日に行うこととなっています。
 11月17日には「納税の猶予」申請を行いました。その際、生命保険の契約書の写しや土地の登記簿を返してもらいました。山田さんの言によると署員の態度は大きく変化したそうです。また、9月5日に税務署員に強制的に書かされた税務署へのお詫びの文書や税額が確定するに至った収支の月次計算書や収支内訳書の個人情報の開示を求める手続きを行いました。
 このような行動を通して山田さんは徐々に元気を取り戻しています。

 国家権力に名をかりた脅しの調査と徴収 ①
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.690より
「あがっていいですか」と聞かれ、返事をする間もなく自宅の中へ!
 11月7日、板金業を営む山田さん(仮名)は税務調査で多額な税金を払うことになり、どうしたらいいか民商に相談に来られました。話を伺う中で、税務署員の極めて犯罪調査に近い調査の実態が浮き彫りになりました。8月20日に税務署員が作業所に2名、自宅に1名、計3名がおしかけ、自宅の方では「扶養家族のことで聞きたいことがあります」と言われ、ドアを開けました。すると、署員が身分証明書を見せ、「上がっていいですか」と言いながら返事をする間もなく自宅の中に入ってきました。山田さんの奥さんは、突然の出来事にびっくりして、その後は、署員の言われるままとなりました。
お父さんが「本当に寝たきりか」まで確認する署員
 自宅にいた奥さんは、署員に家の権利書や通帳、領収書などの原始資料などを出すように言われ、その場にあった物を渡しました。今は寝たきりのお父さんが今年の4月まで長年、作業所の経理を全て任されていたので、詳しいことがわからないと訴えると、作業所にいたもう一人の署員と連絡を取り合って、本当に寝たきりかどうかをお父さんの寝ているところまで連れて行かせて、直接確かめることまでしました。また、作業所ではご主人が、その場で現金をいくら持っているか財布の中まで調べられました。山田さんは、こんなことまでされないといけないのかと疑問に思い署員に尋ねましたが、「念のため」と一蹴されました。
分納の担保に生命保険とお父さんの土地を要求される
 署員が資料を持ち帰って調査をすすめ、後日、山田さんに提示した修正申告書はびっくりするほどの多額な税金を支払うものになっていました。署員は、今回の調査の全ての責任が山田さんにあることを書面にして署名捺印させています。山田さんは、署員から「捺印しなければ、寝たきりのお父さんに責任がおよぶ」と精神的に追い込まれ印鑑を押しました。「こんな金額払えません」と分納を主張しましたが、担保をつけてもらわないと難しいという趣旨のことまで言われました。そして、後日分納相談に行き山田さんは、「私が死ねばどうなるのですか」と尋ねました。徴収担当の署員は「家族にいきます」と言い放ち、なぜそのような言葉が山田さんから出たのか、まさか死ぬつもりなのかと、あたたかい言葉をかけることもなく、生命保険や、お父さんが所有する土地を担保にすれば分納を検討すると言ったのです。本来、生命保険を担保にしたり、本人以外の人が所有する土地を担保にしたりすることはあってはならないことです。山田さんは、人権を無視され、業者のプライドまでもっていかれたうえ、国家権力の名をかりた脅しの税務調査と徴収によって、自分が死ぬことで多額の税金の支払いをすることまで考えるようになっていたのです。
今後のためにも人間の尊厳をとりもどそう
 山田さんは、民商が納税者の権利や、憲法と税務運営方針を守ることを署員に主張し、対等の立場で税務調査をすすめていることを知ってびっくりされていました。自分たちが受けた税務調査がいかに人権を無視した強権的なものであったか痛感されたのです。また、今回の調査と徴収で見過ごしてはならないのは、極めて犯罪調査に近い形ですすめられ、人間の命をどう考えているのかと疑いたくなるような対応を署員がしていることです。
 この調査で山田さんのご家族は、不況の中、一生懸命働いて家族で支えあってきたのに、一方的な調査で、はかりしれない精神的な苦痛を受けました。人間の尊厳を取り戻し、業者のプライドを取り戻し、もう一度、業者として頑張っていくために、税務署への抗議も含めて、今後どうするか話し合われています。
税務調査から徴収へ広がる横暴
 税務調査に協力しているにもかかわらず、取引先を反面調査し、信用を失墜させる。「帳簿が不備」と理由をつけて「7年分の調査をする」と脅すなど他府県でも横暴な事例が後を絶ちません。横暴な徴収も広がっています。消費税の分納中に納税者を執拗に呼び出し、「差し押さえで商売がつぶれようが関係ない」と暴言を浴びせて一括徴収をはかる(2007年広島・吉田税務署)などの事件が横行しています。税務署員などの公務員は「全体の奉仕者」として憲法を順守し、擁護する義務があります。私たちひとりひとりが納税者の権利を学習し、税務署員が本来の役割にそって憲法を順守し、納税者の人権を尊重するように働きかけていくことがますます重要になっています。強く大きな民商をつくりましょう。

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