6月30日、「市民生活の実情に配慮した国保行政の推進を求める要望書」を吹田市に提出しました。7月10日、吹田市より回答が寄せられましたので紹介します。
引き続き、社会保障の後退を許さない取り組みを強めていきます。

市民生活の実情に配慮した国保行政の推進を求める要望書について(回答)
Ⅰ 国民健康保険について
(1) 国民健康保険制度は社会保障であることを確認していただくこと。
(回答) 社会保障の理念は、人間には「窮乏のおそれ」から免れたいという深い願望があり、各個人の努力だけではこの不安に対処できないため、組織により国民に保障を提供する必要があること。社会保障は慈恵的なものではなく権利である。等、ILOは社会保障の理念を明らかにしております。この社会保障の一つとして国民健康保険等の医療保険も位置付けられております。
(2) 国民健康保険料について
①一般会計からの繰入れを増額し保険料の大幅な減額を実現していただくこと。全世帯に1万円以上の値下げを実現するために必要な繰入金額を明らかにしていただくこと。
(回答) 国民健康保険料につきましては、今後も国や府からの補助金の確保に努めながら、財敵状況の非常に厳しい中ではありますが、より一層の一般会計からの繰入金の確保に努め、大幅な被保険者の負担増にならないように努めてまいります。また、保険料の値下げについては厳しい現状ですが、全世帯1万円以上の値下げをするとすれば、それに要する繰入金額といたしましては、約4億円程度でございます。
②今年度の保険料率について明らかにしていただくこと。また、2007年度、2008年度の一般会計からの繰入額を明らかにしていただくこと。
(回答) 今年度の保険料率につきましては、医療分としまして、所得割料率0.0588、均等割額10、798円、平等割額4 5、833円、介護分としまして、所得割料率0.01 47 、均等割額3、356円、平等割額10、050円、高齢者支援金分としまして、所得割料率0.0141、均等割額2、663円、平等割額11、302円となっております。また、2007年度決算の繰入額は、29億5千451万5千289円、2008年度当初予算額は75歳以上の方が後期高齢者医療制度に移行しましたこと等によりまして、26億6千75万1千円でございます。
③本市国保加入者の職業構成の変化を1965年、1975年、1985年、2005年、2008年の順に明らかにしていただくこと。
(回答 )職業につきましては、把握しておりません。
④国や大阪府に対し、市長名で補助金の増額を要求していただくこと。
(回答) 大阪府の市長会を通じまして、引き続き要求してまいります。
(3) 保険料の減免について
①国保加入世帯の4分の1(2007年11月30日現在で17、100世帯、全体の26.7%)の世帯が滞納している事態の責任を被保険者に一方的に押し付けないこと。国の補助金の削減、平成12年、13年の保険料の算定方式変更、そして、一般会計からの繰入れの減少、そして何よりも「貧困と格差」を生み出す経済政策がその背景にあることを自覚していただくこと。
(回答) 本市国民健康保険財政につきましては、平成19年度で約11億3千万円の単年度赤字となるなど大変厳しい状況が続いております。今後は国民健康保険制度の抱える構造的な問題と併せて、今年度実施されました医療制度改革の影響を見極め、対策を講じてまいりたいと考えております。
 また、今後も国や府からの補助金の確保に努めながら、財政状況の非常に厳しい中ではありますが、一般会計からの繰入金の確保に努め、大幅な被保険者の負担増にならないように努めてまいります。
②「払いたくても払えない」実情を丁寧に聞き取り、画一的な対応によって相談に来ている市民から、「水際的」と批判されることがないよう、親身に対応していただくこと。
③原油高や原材料高騰が中小業者の営業に深刻な影響を与えている。減免相談の際は、その点を十分尊重していただくこと。
(回答) 減免相談を含めた納付相談にあたっては、市民の皆様の生活実態の把握に努め、真摯に対応するように努めております。また減免の判定にあたっては「吹田市国民健康保険料減免取り扱い基準」に基づいて判断しております。
(4) 保険料滞納者への対応について
①資格証や短期保険証の発行が「医療抑制」につながっている事態を把握し全ての加入者に正規証を発行すること。
(回答) 資格証や短期保険証の発行につきましては、納付相談の機会の確保に努め、慎重に対応してまいります。
②資格証や「保険証の留め置き」世帯の医療状況を把握し、人権問題に発展することのないよう、特段の注意をもって対応すること。
(回答) 資格証や「保険証の留め置き」世帯につきましては、同様に納付の相談の機会の確保に努め、特段の注意を持って対応してまいります。
③保険料の滞納を理由にした差押さえは行わないこと。
(回答) 自主的に納付の意思をお示しいただければ差押さえはいたしません。
④コールセンターの設置や徴収義務の民間委託は行わないこと。
(回答) コールセンターや徴収業務の民間委託につきましては慎重に検討してまいります。
⑤7月1日現在の資格証、短期保険証、保険証の留め置き件数について明らかにしていただくこと。また、資格証発行世帯と保険証留め置き世帯の家族構成、年齢、所得、医療の利用状況についても明らかにしていただくこと。
(回答) 資格証発行世帯は19世帯、34人です。内訳としましては一人世帯が13世帯、二人世帯が2世帯、三人世帯が1世帯、四人世帯が1世帯、五人世帯が2世帯、となっております。
 年齢構成につきましては20代が9人、30代が4人、40代が8人、50代が10人、60代が3人、となっております。
 所得構成につきましては400万円未満が14世帯、600万円未満が3世帯、600万~1、000万円が1世帯、1、000万円以上が1世帯、となっております。
 短期証は671世帯1,778人で、うち、留め置き世帯は251世帯564人で詳細は不明です。
(5) 年金からの強制的な保険料の天引きを行わないよう国に要望すること。
(回答) 国保料の年金からの天引きにつきましては、ロ座振替をしていただくことで特別徴収をはずすこともできますので、市民に周知をはかってまいります。
(6) 少子化対策として、出産手当・傷病手当の試算・実施を行い、国には強制給付を行うよう要望すること。
(回答) 傷病手当会及び出産手当会につきましては、法定給付とし、助成制度の創設を図るよう、国に対し大阪府市長会等を通じて求めてまいります。
(7) 国保運営協議会委員の公募条件から「保険料の滞納していない人」の要件を外していただくこと。また、公募委員を増員すること。
(回答) 運営協議会の公募条件につきましては、委員としてふさわしい被保険者代表を選出するために必要であると考えております。
 運営協議会委員の構成は、被保険者代表・医療代表・公益代表の同数構成が法定されており、現在は被保険者代表の1/2の2名を公募していますが、現在の委員構成で円滑な運営が行われていると考えております。
II 後期高齢者医療制度について
(1) 制度の廃止を国に要望すること。
(回答) 本年4月から創設されました長寿医療制度(後期高齢者医療制度)につきましては、本市議会におかれましても5月30目[後期高齢者医療制度の中止を含む抜本見直しを求める意見言」が採択されたところでございます。政府・与党におきましては6月12日「高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について」との特別対策を発表してきたところでございますが、引き続き国会等における議論も進められるものと存じます。
 本市におきましても議論の動向を十分に注視してまいるとともに、機会を通じて必要な発言を行ってまいりたいと存じます。
(2) 市独自の減免制度を制定すること。
(回答) 後期高齢者医療制度の保険料の賦課権限は都道府県に置かれた後期高齢者医療広域連合にあるため、市町村には賦課決定にかかわる減免の決定権限は与えられていないものと解されます。政府・与党の示した「高齢者医療の円滑な運営のための負担の軽減等について」では統―的な低所得者に対する軽減割合の拡大と合わせて広域適合条例での個別減免を含めた検討をうたっており、今後の大阪府後期高齢者医療広域連合での議論を注視するとともに、高齢者の医療にかかる負担を軽減するため、他の施策も含めて本市として実施できることはないかという検討については引き続き行ってまいりたいと存じます。
(3) 65歳以上の障害者が後期高齢者医療制度から国民健康保険への再加入を希望した市民の意思を尊重すること。
(回答) 65歳以上の「みなし障害認定者」の撤回ならびに国民健康保険の再加入については制度の内容を十分に説明したうえでご要望の趣旨に沿って対応してまいります。
(4) 保険料の支払が困難な市民への救済策を検討すること。
(回答) 保険料の支払が困難な納付義務者につきましては納付相談で十分に実態をお伺いしたうえで、対応してまいります。
(5) 後期高齢者支援金が国保会計に与えた影響を明らかにしていただくこと。
(回答) 吹田市におきましては「後期高齢者支援金」について、平成20年度においては、「国保医療分」と併せて前年度の「国保医療分」と同額となるよう予算を組んでまいりました。平成21年以降の国保会計に与える影響については引き続き精査してまいります。
Ⅲ 健康診断について
(1) 変更点の特徴について説明していただくこと。
(回答) 平成20年4月から国民健康保険など各医療保険者が実施主体となり、40歳から74歳の加入者を対象に、メタポリックシンドロームに着目した健診・保健指導が始まったところです。
  「特定健診」では、メタポリックシンドロームの該当者及びその予備群を減少させるため「特定保健指導」を必要とする人を見つけ出すための検査項目が定められておりますが、吹田市国保健診ではこれまでの基本健診と同様の検査項目で実施しております。
 ま竟、「特定保健指導jでは、特定健診の結果をもとに階層化を行い、「動機付け支援」や「積極的支援」が必要となりた方には、グループワークや個人面接を通じ保健師や栄養士が支援してまいります。
(2) 日曜・祭日・夜間の受診機会を確保していただくこと。
(回答) 吹田市国保健診では、市内の協力医療機関で受診をしていただいているところです。厚生労働省では身近な地域での時間外診療等の提言を行っているところですが、医師数の不足や救急医療等を優先することから日曜・祭日等の受診機会の確保は難しいものと考えます。
(3) がん検診の充実を図っていただくこと。
(回答) がん検診の充実につきましては、これまで受診率の低かった肺がん検診を、平成20年度から個別の医療機関で受診できる個別方式を導入し、早期発見と受診率の向上に努めております。
(4) 2006年度と2007年度における、基本健診とがん検診の受診者数を大阪府全体、北摂地域と比較しながら示していただくこと。
(回答) 大阪府から2006・2007年度の状況は示されておりませんが、北摂各市の基本健診、がん検診の受診状況は次のとおりです。
2006年度
吹田市 豊中市 高槻市 茨木市
基本検診(40歳以上) 59.239 35.505 28.670 28.695
胃がん検診 7.085 8.479 3.557 5.017
肺がん検診 1.593 4.266 25.507 17.623
大腸がん検診 20.994 29.041 12.845 25.494
子宮がん検診 10.308 11.165 6.353 7.518
乳がん検診 9.675 5.538 4.597 3.882
2007年度
吹田市 豊中市 高槻市 茨木市
基本検診(40歳以上) 65.341 42.296 30.641 30.204
胃がん検診 7.500 9.344 4.918 4.767
肺がん検診 1.564 5.278 27.527 18.808
大腸がん検診 24.047 33.854 14.580 27.108
子宮がん検診 9.791 10.800 9.961 7.808
乳がん検診 10.975 8.100 5.863 4.194


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