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地域密着の商売は、地域の人の認めてもらうことから始める
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.722より 09.7.13
 6月30日に民商会館で我が商売を語る会を行ないました。
今回ははじめに自主記帳の推進のため、中央支部の六車さんから自作の記帳ソフトのデモンストレーションをプロジェクタを使って20分間行っていただきました。できるだけ簡単に早く入力ができるように工夫されたソフトです。実演が終了したあとNT支部の岡田さんからもお勧めの声がありました。

 今回の報告者は千里山支部で自転車・自動二輪の販売修理をしている金津清之助さん。地域密着の工夫などを話して頂きました。

自転車屋さんになったきっかけ
 青森から大阪に出てきてトレーラーの運転手をしていた金津さんは、長く続けられる仕事をしようと、会社によく来ていた生命保険のおばさんに相談したのがきっかけで自転車の仕事に。おばさんから紹介してもらった自転車屋さんの師匠の下で、トレーラーの仕事も続けながら5年ほど修業。師匠は「店をやるなら千里山、あそこならやっていける」と開業する場所や世話までやってくれた恩人、まさに「大阪の親父」と話されていました。

地域の人に自分がどこで商売しているのかアピールするのが大事
 開業した頃の千里山は、自転車の修理に来た人が怖がりながら声をかけてくるほど、「自転車屋さんは怖い」という印象が強かった地域だったと振り返り、地域の人に認めてためにといろいろな工夫をしたそうです。
 はじめは店の前を自転車に乗って通る人には声をかけてタダで空気を入れる、お店の前を通る人には必ず挨拶をすることから始めたそうです。通る人が挨拶を返してくれるようになるまで1年以上かかったと話されていました。また、それだけでは足りないと、地域のいろいろなグループのリーダーの人がくるとサービスをして他のお客さんを紹介してもらうことや、自治会などの地域の行事には必ず顔を出して、盆踊り大会の景品に思い切って自転車を提供することもしていたそうです。さらに一度来たお客さんの名前は必ず覚えておいて、その人が店の前を通るときには名前を言って挨拶。人にとって名前を覚えてもらっていることは絶対に印象が違うと強調していました。どこで買った自転車でも気持ちよく修理をするよう、今も心がけているそうです。今では千里山東には8軒の同業者がいるけれども、このころの苦労で今でもお店を続けられている。店の前での挨拶などは今でも続けていて、始めたことは続けてやることが一番大事と話していました。

自転車屋は地域密着の商売
 「自転車はその人の足。自転車屋は地域の人たちの足を守る仕事、地域密着の商売。儲けたいけどそれをもろに出したらダメ」と話す金津さん。子どもの自転車を初めて買いに来たお客さんには、子どもは必ず大きくなってすぐに乗り換えの時期が来るので、絶対に高い自転車はすすめないそうです。紹介で来てくれたお客さんには必ずサービスをして、紹介してくれた人の顔を汚すようなことはできないとも話してくれました。
 金津さんは商売をしていてうれしいことは3代続いているお客さんが多いことと、関西大学の学生だった人が、お店に奥さんと子どもを連れて来て、「自分が学生をやっていた町と金津のおっちゃんを紹介しにきた。」と来てくれることが一番の宝物と話してくれました。息子さんにも自営業の楽しさを理解してもらって、跡継ぎが決まっています。せっかくの商売を自分一代で終わらせないようにしてほしい」と報告を締めくくりました。

参加者の感想
☆ いつも元気で豪快な金津さんからこれだけの地域密着の戦略が出てきて驚いた。
☆ 金津さんから元気をもらおうと思ってきた。よく苦労し、よく考えてお店をされたと思う。金津さんは正に社会的企業家。
☆ 金津さんらしいバイタリティあふれる報告だった。金津さんだからできることだと思った。
☆ メンテナンスの点では似た仕事。参考になることが多かった。
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