もどる
国保滞納者に財産調査! 銀行口座・3か月分の取引履歴まで調べる!
吹田民商「いんふぉめーしょん」No.773 10.8.23
 8月5日(木)午前10時より、吹田市が現在、国保料の滞納者に対して行なっている財産調査・差押えについての話し合いを行ないました。
 当局からは、岩崎室長、後藤総括参事をはじめ5名の職員の方が対応され、吹田民商からは14名の役員と事務局が参加、生活と健康を守る会、新日本婦人の会を含む計16名が参加しました。
 
このような人権感覚でいいのか
 話し合いの中で、まず、財産調査はどのように行うのかを確認しました。当局の回答は、
 ① 銀行・・・吹田市の収納代理をしている金融機関(郵貯含む)すべてに文書照会を行い、2~3か月の取引履歴を調べる。
 ② 生命保険・申告時の生命保険料控除をとっている方を対象に、預金の引落し状況などを調べる。
 ③ 不動産・・不動産収入のある方の資産状況を調べる。とのことでした。
 私たちは、特に、銀行調査において預貯金残高だけでなく、2~3カ月分の取引履歴まで調べていたことに驚きました。参加者からは「本人の了解も取らずに財産調査をすることにびっくりしていたが、取引履歴まで見ていたとは人権感覚を疑う。」また、「今の時代、本人が銀行に行って暗証番号を忘れたと言っても教えてくれない。こんなことがあってもいいのか。」の声があいつぎました。そして、融資を申し込んだ際に、この調査が行われたことを理由に断られる可能性があることを訴えました。当局は、そういう認識がなかった様子で、回答不能となりました。

財産を調査するのではなく  市民の生活実態を調査せよ
 吹田社保協国保部会が行った要望書の回答で吹田市は、財産調査について、①保険料納付がなく、納付相談にも応じない、所得が一定額ある方 ②年間保険料に満たない方(分納しながらも滞納額が増える方) ③納付の目途がたたない方 を対象に、未納者の実態を示すひとつの資料と考え、調査をおこなってきたところです、と答えています。
 そして、その3つの基準がすべてあてはまる方に対する調査かどうかを確認しましたが、「ひとつでもあてはまれば調査をします」とのことでした。
 私たちが、この問題で一貫して訴えているのは、「今、重要なのは、強権を発動して滞納住民の財産を調査するのではなく、生活実態を調査して、それぞれの市民の状況にあった納付をすすめること。」です。3つの基準にひとつでもあてはまると財産調査をするのは社会保障の理念に反します。
 しかも、財産調査を行なった、約9割の市民の申請(財産状況)に間違いがないこともわかりました。このことは、財産調査を強行しなくても、市民を信頼し、丁寧に話し合う努力をすればいいことを示しています。

制裁措置では真の解決はできない
 当局は、話し合いの中で、「財産調査は、収納率を上げるためではない。」「差押えをするための調査ではない。」「法にもとづいて、本来、やるべきことをやっています。」などと発言していました。
 滞納者本人が知らない間に財産調査をすることが問題であり、しかも、3か月の取引履歴を見ることへの人権感覚が問われます。今年4~6月に行った財産調査の内訳では、所得100万未満の方が14人、滞納金額100万未満の方が41人、18歳以下の扶養者を有する世帯数は24世帯でした。これは、いかに厳しい暮らしを強いられているか、その中で必死にこどもたちを育て、高い国保料を「払わない」のではなく、「払えない」実態があることをあらわしています。その市民に制裁措置を行なっても、なんの解決にもなりません。
 そもそも、差押えにおいても当局は、2007年の7月に「悪質とみなされる場合に」と発言し、2009年の9月には、「所得300万、滞納額100万以上が対象。」と回答していました。そして、今回、①納付相談に応じない。 ②具体的な納付計画の提示がない。 ③納付相談の中で差押えを承認している。というこの3つ全てがあてはまる方が対象と回答が出されたのです。
 私たちは、充分な議論もなく当局の都合にあわせた新たな基準であることを指摘し、なぜ、こんなにもあやふやなのかと問いただしました。また、新たな基準を設けたり、方針を変えるときは、市民の人権を守るために慎重に議論をすすめること、どういう理念をもって行うかが重要だと訴えました。
 その結果、今年中に今後の調査のあり方について検討し、文書で回答すること。また、その年内までの調査方法を8月中に決めること、8月中は財産調査を行なわないことを確認しました。

もどる