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「吹田市中小企業振興基本条例(仮称)」制定に向けた提言
2007年11月15日
吹田市商工協同組合
 はじめに
 現在、吹田市当局は「商工振興条例」を制定する準備を始めています。振興条例の制定は、私たちが10年以上前から要望してきたものであり大いに歓迎いたします。ぜひ、全国に誇れる条例を創り上げましょう。
さて、この文書は、10月22日に開催された「商工振興施策部会」の討議の際に出された要望に沿って作成されたものです。今、吹田市の商工行政は大きな転換点を迎えようとしています。11月12日から産業労働室が「産業労働にぎわい部」となり、行政のなかの位置づけが高まりました。(この点についても、5年以上前から要望してきました。) その上に、条例が制定される事は全市的な立場で中小企業施策が推進されることを意味します。その転換期に相応しい振興条例となるよう、私たちも全力を尽くしたいと思います。

Ⅰ 条例制定の必要性
 近年、全国で「中小企業振興条例」を制定する動きが活発になっています。2002年埼玉県、2005年三重県、2006年福島県、2007年熊本県・千葉県・京都府が制定し、現在、沖縄県、香川県、神奈川県で準備されています。市町村の段階でも同様です。ここには、経済のグローバル化による「産業の空洞化」や「地域間格差」の進行に伴って、大企業に頼って地域経済を振興するという観点が薄れてきたこと、そして、大企業に頼ろうとしても自治体財政の支出が追いつかないという事情があります。そのため、地域経済の主役であり、まちづくりの主役である中小企業の役割が改めて見直されてきたことが条例制定の背景となっています。以上のような全国的な動向を見ながら吹田の条例についても考えていく必要があります。

(1)吹田市の将来ビジョンの中での位置づけ
必要性の第1は吹田市の将来ビジョンのなかで条例の制定が位置づけられていることです。吹田市第3次総合計画(以下「総合計画」)は「わが国の産業は、経済の地球規模での拡大に伴い空洞化が進んでいますが、大阪府下では首都圏への本社機能の移転なども加わり、近年さらに地域経済が停滞しています。(略)北大阪地域での業務集積地としての本市においても、事業所の閉鎖や移転、近隣都市での大規模小売店舗の開設などが進んでおり、市内の商業者や市民の生活に少なからず影響を及ぼしています。停滞する地域経済の活性化について新たな視点で取り組むとともに、時代の変化や多様なライフスタイルに対応した地域産業の発展に努め、地域経済の振興を図る必要があります。」と「地域経済の変化」の特徴を説明し、地域経済振興の必要性を強調しています。そして、吹田市新商工振興ビジョン(以下「新ビジョン」)は、「商工業の振興の基本となる事項を広く市民に周知し、市の方針を明確にするため、条例の制定について今後研究・検討を進めることも必要です。」と述べています。振興条例の必要性を、この二つの基本文書が明確に位置づけています。

(2)少子高齢化社会の到来と安心安全のまちづくりについて
  条例制定の必要性の第2は、少子高齢化社会、安心安全なまちづくりをどのようにして進めるのかという問題です。2005年の国勢調査では、大阪の65歳以上の単独世帯は約34万人(9,5%)、夫婦のみの世帯は約35万人(9,7%)となっています。10年前が18万人と20万人なので倍加しています。吹田市の2006年9月末現在の65歳以上の人口割合は17,2%です。2000年が12,9%、1995年が10,1%、1990年が7,8%、1975年は5,1%ですから急速度で高齢化が進んでいます。高齢者孤独死も増加しています。今年7月の内閣府の調査では、「生活に不安」が69,5%で過去最高となり、そのうち「老後の不安」が53,7%(複数回答)となっています。また、少子化も徐々に進行しています。2006年9月末現在の14歳以下の人口割合は14,8%、2000年は14,7%、1995年は15,5%、1990年は18,9%、1975年は26,8%となっています。将来的には人口の大幅な減少を生み出し、財政問題をはじめ様々な問題の要因となってきます。この少子高齢社会を支えるまちづくりは、どのようなものか今から考えていく必要があります。吹田ではその先例をニュータウン地域に見ることができます。高齢者や子どもたちは近隣センターまで買い物に行くだけでも大変です。その近隣センターは、市場を支える商店の皆さんの必死の努力にも関わらず空き店舗が生まれ、生活のための必需品全てを揃えることができない状況となっています。それでも、高齢者や子どもたちにとっては、買い物だけではなく、おしゃべりをしながら憩う場であり、自分の存在を確認する場、社会を学ぶ場、人間的な温かみを感じる場でもあります。近隣センターを衰退させる事は、そのような人間らしい生活空間をなくすことでもあります。市場や商店街の役割は地域経済の問題であるとともに地域文化や地域コミュニティーの問題でもあります。言い換えれば「公共財」としての位置づけをもっています。その意味合いを市民的に高めていく必要があります。
  また、安心安全なまちづくりの視点も重要です。「総合計画」は、阪神・淡路大震災の教訓から、「生命の安全の確保やコミュニティの振興という視点をもってまちづくりを進めること」の重要性、そして、市民生活の安全を脅かす「犯罪」から市民生活を守るために、「防災や防犯に自主的に取り組むコミュニュティの振興を図る必要」があると指摘しています。少子高齢化社会を底辺から支え、防災や犯罪から市民生活を守る役割は中小企業・中小業者の存在抜きには語ることができません。

(3)格差拡大と中小企業数の大幅な減少
  条例制定の必要性の第3は、少子高齢化社会、安心安全のまちづくりを担う中小企業・中小業者が減少している問題です。7月に発表された「2006年事業所・企業統計調査(速報)」によると、事業所数は、2006年は2001年との比較で6,9%減少しています。大阪は全国一で11,5%も減少しています。吹田市も1108事業所(9,4%)が減少しています。驚くべき数字です。40人以下の事業所が減少し、9人以下は8,7%(吹田市168事業所6,9%)、4人以下は8,3%(吹田市715事業所11,7%)も減少しています。他方、200人以上の事業所が5,9%(吹田市は3事業所12%の減少)増え、300人以上の事業所も11,0%(吹田市は8事業所33%の増加)増えています。この数字は、構造改革の影響が、どこに有利に働き、どこに不利に働いたかを明確に表しています。また、「従業上の地位」では「正社員・正職員」が5%減り、「正社員・正職員以外」が11,4%増、「臨時」が6,1%増えています。不安定雇用が大幅に増え、ワーキングプアを生み出す土壌が形成されたことを示しています。大阪商工会議所の小池俊二氏は、「市場原理主義政策によって地域が疲弊した」ことを指摘し、「3つの格差是正」に取り組む必要性を強調されています。一つ目は都市圏と地域の格差、二つ目は大企業と中小企業の格差、三つ目は成長している業種と過去に成長を背負った業種の格差です。そのためには、中小企業対策を強化し地域経済を振興させる必要があると主張されています。全く同感です。

(4)吹田市の行政の中で商工施策の位置づけを高める
  条例制定の必要性の第4は、吹田市の中小企業施策の弱さを克服し行政の位置づけを飛躍的に高める問題です。「旧ビジョン」は製本化されただけでほとんど活用されていません。そのため、施策の大半が計画倒れになってしまいました。また、私たちは、吹田市の製造業衰退(事業所数と従業者数が、2003年の段階で1998年よりも26,9%も減少)の原因と善後策の検討を2005年9月の「意見書」で要望しましたが、行政が対応された気配はありません。この背景に頻繁な人事異動があります。産業労働室は室長が8年間で9人、担当参事も2年間で交代することを繰り返しています。そのため、商工振興の基本である「旧ビジョン」を指針とした行政を行うことができず、製造業の4分の1が減少すると言う大事件にも対応することができませんでした。施策に活用できる予算の低さも際立っています。5億円の予算のうち、実際に施策として活用できるのは1億円、その大半は「補助金」であり、「委託料」です。これでは行政の自主性が発揮できません。予算を大幅に増やさなければなりません。幸い、産業労働室は「産業労働にぎわい部」に昇格しました。行政のなかの位置づけが飛躍的に高まり、人事も安定し、予算も大幅に増額されなければなりません。条例制定がその一助になることを期待します。
  
Ⅱ 条例制定の基本的な視点
  どのような条例が求められているのか。その基本的な視点を以下にまとめました。
(1)「人間」と「生活」が大切にされるまちづくりを
  「総合計画」は吹田市の都市としての特性を「住宅都市としての性格を備えながら、大阪市などの周辺都市からの通勤者を受け入れるなど、商業・業務機能をあわせ持った都市」、すなわち「複合型都市」と規定しています。「住宅都市」の機能と「商業・業務機能」は互いに補いながら都市を発展させてきました。そして、その両者を底辺から支えているのが中小企業です。
 まちづくりの基本は、吹田市に住む全ての人々が、衣食住の心配なく、いつまでも安心して住み続けられる環境をつくることにあります。地域経済の振興はその環境づくりの一翼を担っています。まちづくりの中心に「人間」と「生活」をおき、社会的弱者に優しい関係を築くことこそ市民・企業・関係団体・行政の役割であり責務です。吹田市は長年にわたって「福祉」と「子育て」を大切にした施策を行っており全国的にも有名です。そして、多くの市民も行政もそのことを誇りとしています。この積極面を条例の中に反映させ、「人間」「生活」「地域経済」を一体にした条例作りを行います。

(2)中小企業振興こそ地域経済振興の要
  「中小企業の振興」にすると「範囲が狭まる」との議論があります。そうでしょうか。事実を正確に見る必要があります。まず、数です。吹田市における中小企業基本法第2条にいう「中小企業者の範囲」(従業員数のみ・資本金は不明)に入らない企業数は全部で148社(製造業等5社、卸売業24社、サービス業62社、小売業57社)しかありません。吹田市の全業所数は11,783社(平成13年度の事業所統計)の1,2%です。中小企業が98,8%を占めているわけですから範囲を狭めているわけではありません。また、構造改革(市場原理主義)の影響を受けて、大企業と中小企業の格差が広がっている事は周知の事実であり、大企業と中小企業を同列におく議論は、大企業の立場に立つことの言い訳を様々な角度から行うことになるだけで現実的ではありません。それは大阪商工会議所の小池俊二氏の主張からも明確です。私たちは、大企業を悪と見ているわけではありません。協力・共存する必要があると考えています。大型店が進出してくることには反対ですが、進出した大型店が地元商店街に打撃を与える形で撤退することにも反対です。進出している大型店とは協力・共存する必要があると考えています。その努力を大型店が行わなければなりません。条例の名称に「商工振興」を使用する事は構いませんが、条例制定の目的や施策の対象は中小企業でなければなりません。

(3)行政の責務を明確にすること
 中小企業・中小業者が自らの営業に責任を持つ事は当然です。それは幾ら強調しても否定されるものではありません。しかし、それだけで、地域経済が振興することになるかと言えば、そうではありません。行政が主体的に、そのための役割を果たしてこそ豊かで温もりのある地域が形成されていくのです。中小企業基本法第6条は「地方公共団体は、基本理念にのっとり、中小企業に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と記しています。ここには、誰が、何のために条例を制定するのか、その基本が明文化されています。責任の主体も「地方自治体」と明確です。そして、「新ビジョン」の姿勢も以下のように明確です。「具体的な施策の展開にあたっては、都市計画、交通、環境、福祉など市民生活にかかわる行政の各部局や関係機関が連携と充実を図るとともに、まちづくりの視点から施策の具体化・重点化を進めていくことが必要です」「また、このビジョンの実現に向けての取り組みをより確かなものとするため、商工業者、市民、行政、関係機関、学識経験者などで構成する推進組織を設置し、進捗状況を把握するなど、商工振興、まちづくりを積極的に進めていく体制を確立する必要があります。」と、行政が指導性を発揮することを求めています。以上の観点に立って「行政の責務」の基本点について提起します。

①小規模企業に配慮した施策の推進
「2006年事業所・企業統計調査」によると、吹田市内の9人以下の従業員をもつ事業所は7644事業所で全体の71,6%を占めています。このような小規模企業者、は1996年の段階では8659事業所、全体の74,7%を占めていましたが、10年間で大幅に減少してしまいました。それでも全体の7割を超え、吹田の地域経済を底辺で支えています。「新ビジョン」は、「行政の役割」として、「特に、小事業者の占める割合が高い本市においては、これら事業者に配慮した支援策等の検討が求められる」と強調しています。中小企業基本法第8条も「小規模企業への配慮」として「国は、小規模企業者に対して中小企業に関する施策を講ずるに当たっては、経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事情を踏まえ、小規模企業の経営の発達及び改善に努めるとともに、金融、税制その他の事項について、小規模企業の経営の状況に応じ、必要な考慮を払うものとする」として、大きな企業と小さな企業を区別した施策を行うように促しています。私たちが期待する新規開業者も最初は小規模企業として出発します。9人以下の小規模企業を大切にしてこそ、雇用も税収も増やすことができるはずです。同時に、小規模企業者の多くが市民の「生活」と直接関わった仕事をしていることに注意を向けなければなりません。少子高齢化社会の直接的な担い手として期待されている層を減少させることはまちづくりの重要な担い手を失うことにもつながります。

② 官公需の地元中小企業優先発注を重視
中小企業基本法は第21条で「国は、中小企業が供給する物品、役務等の調達に関し、中小企業者の受注の機会の増大その他の必要な施策を講ずるものとする」としています。
吹田市も毎年のように、私たちの要望に対して、「本市では、従来より地元業者育成の観点に立ち、市内業者の優先的参加を基本とし、建設工事につきましては、可能な限り分離・分割発注を行うことにより、市内中小業者の受注機会の確保を図るとともに物品につきましても、可能な限り大手メーカー等ではなく代理店等中小業者への発注に努めています。今後も引き続き、地元業者育成の立場から市内中小業者を優先し、受注機会の確保に努めてまいります」と回答(2006年11月29日)しています。この内容を条例化するべきだと考えます。

③ 財政処置の明確化
予算を大幅に増やすことなく、理念だけ説いても「絵に描いた餅」で終わります。「産業労働にぎわい部」昇格により地域経済振興の観点が吹田市行政の重要部分に位置づけられる必要があります。吹田市の中小企業施策は、大阪府の施策を検討し取り入れる努力はされていますが、国の施策検討はほとんど行われていません。国や大阪府との連携を強めることで、全て市独自の財政で賄う必要もなくなるはずです。

④ 製造業の持続的な発展
4分の1が減少したとは言え、2003年段階で269社が存在し、従業員も6490人います。貴重な存在です。減少の原因を調査し善後策を検討することが急務です。「旧ビジョン」は、「工場移転検討の主な理由」を調査していました。その延長線上の施策検討がなかったことが悔やまれる事態が起きてしまいました。「新ビジョン」では、新たに1割の事業所が移転を検討していることを指摘しています。早急な対策が必要です。その緊急性を自覚するため条例化するべきだと考えます。

(4)大企業の社会的な責任を明確にすること
  従業員数で見た吹田の大企業は148社です。数は少なくても地域経済に与える影響には大きなものがあります。これらの企業が中小企業を育成し、地域活動に貢献する事は、地域経済振興は勿論のこと、まちづくりの観点から見ても大変重要な問題です。市場や商店街では、営業と地域貢献活動が一体化しているところが数多くあります。江坂の地域でも協議会に参加されている企業が地域貢献を地道に自主的に実践されています。競争力の強い大企業が地域に根付き、地域の中小企業・中小業者と共存するためには、経済力に見合う独自の社会的な貢献を行うべきです。特に大型店や全国展開の飲食店などの果たす役割が期待されています。

  吹田市中小企業振興基本条例(案)

 吹田市の中小企業は、市内企業の大多数を占め、様々な事業活動を通じて本市経済の発展を支える存在として、また、市民生活の安定を支えるまちづくりの担い手として貢献してきた。本市の持続的な発展を確固なものとするためには、このような中小企業の役割と重要性を、市、企業、各種団体、市民が認識し、其々がその果たす役割を自覚し、連携を強め、全市を挙げて中小企業を育てていく環境を整備していくことが重要である。
しかし、近年、経済のグローバル化や少子高齢化の進展、人口減少社会の到来等、社会構造の急激な変化によって、中小企業は極めて厳しい経営環境におかれている。
このような状況の中、市民が安心してすみ続けられる吹田市を築くためには、中小企業の自助努力は勿論のこと、意欲ある中小企業を社会全体で育て支援していく必要がある。そのため、ここに中小企業の振興を市政の重要課題に位置づけ、吹田市中小企業振興基本条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、中小企業が吹田市の経済において果たす役割の重要性にかんがみ、中小企業の振興の基本となる事項を定め、中小企業の健全な発展を図ることにより、吹田市経済の活性化及び少子高齢化社会を担うまちづくりの発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1)中小企業者  中小企業基本法(昭和38年法律第154条)第2条第1項各号に掲げるものをいう。
(2)中小企業団体 商工会議所、商店会連合会、吹田商工協同組合その他公益的活動に参加する中小企業に関する団体をいう。
(3)大企業者等  事業を営むもの又は企業団体、経済団体等であって中小企業者又中小企業団体でないものをいう。

(基本方針)
第3条  中小企業の振興は、中小企業者の自主的かつ創造的な事業活動が助長されることを旨として推進すること。
  2 中小企業の振興は、吹田市のまちづくりと連動して市民、企業、関係団体等及び市が一体となって推進することを基本とする。

(基本的施策)
第4条 市長は、第1条の目的を達成させるため、次に掲げる事項を基本施策として実施する。
(1) 中小企業の基盤の整備及び人材育成、人材確保、勤労者の福利厚生を図る施策に関すること。
(2) 中小企業に関する調査、情報の収集及び提供、ネットワークの形成強化を図る施策に関すること。
(3) 安心して子どもを生み、育てることができる雇用環境を整備する施策に関すること。
(4) 障害者の積極的な雇用を推進する施策に関すること。
(5) 中小企業の金融の円滑化を図る施策に関すること。
(6) 生産機能と居住機能との調和を図る施策に関すること。
(7) 事業の再生及び経営の革新を図る施策に関すること。
(8) 創業及び起業の支援並びに定着促進の施策に関すること。
(9) 「公共財」としての商店街の振興を図る施策に関すること。
(10)中小企業者により構成される団体への支援に関すること。
(11) 前各号に掲げるもののほか、市長が中小企業振興のため必要と認める施策に関すること。

(市の責務)
第5条 吹田市及び市長は、前条の施策の具体的な実施にあたっては以下に掲げる処置を講ずるものとする。
(1) 財政その他の処置を講ずること。
(2) 小規模企業(中小企業基本法第2条第5項に規定する規模の企業)及びその従事者に対する配慮に努めること。
(3)  中小企業における製品等の販路又は役務の提供範囲の拡大に資する、市の発注する工事、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、地元中小企業者の受注機会の増大に努めること。
(4)  物品の調達等に当たっては、中小企業者が製造又は加工した物品の利用の促進に努めること。
(5) 中小企業の社会的役割を市民に伝えるための学校教育及び社会教育に努めること。 
(6) 国、府その他の関係機関と協力して施策の推進を図ること並びに必要に応じてこれらの機関に施策の充実及び改善を要請すること。
(7) 地域、産業界及び大学等と連携を図り、効果的な施策の実施に努めること。
(8) 毎年、吹田市議会に、基本的施策に基づいて講じた施策について報告すること。

(中小企業者等の努力)
第6条  中小企業者及び中小企業団体は、事業活動を行うに当たっては、自らが少子高齢化社会を支える重要な担い手であることを自覚しつつ、経営基盤の強化、人材の育成、従業員の福利厚生の充実等に自主的な努力を行うとともに、地域生活環境との調和に十分配慮すること
2 中小企業者は、それぞれの地域及び業種等を中心に組織化を図るとともに、中小企業者等による共同事業の実施、商店街組織への加入と応分の負担、市内商品の積極的な活用等相互に協力するものとする

(市民の理解及び協力)
第7条 市民は、中小企業の発展が少子高齢化社会のまちづくりを支え、自らの生活の向上及び地域社会の安全安心に寄与することを認識し、その健全な発展に協力するように努めるものとする。

(大企業者等の努力)
第8条 大企業者等は、中小企業と大企業が地域社会の発展に欠くことのできない重要な役割を果たすことを認識し、中小企業の振興と吹田市のまちづくりに協力するように努めるものとする。

(推進機関の設置)
第9条 この条例を推進する機関を設置し施策の進捗状況の把握・調整・推進に努めるものとする。

(委任)
第10条 この条例の施行に関し、必要な事項は規則で定める。

附則
 この条例は平成20年  月  日から施行する。


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